婦人科検診者で最も多い「性器出血」について

執筆・監修


健康医学予防協会
新潟健診プラザ 診療部長
湯澤 秀夫

 

ごあいさつ


日頃健康診断に当センターを利用していただき、誠にありがとうございます。
お金で買えないものは老齢化と健康と信頼です。私は昭和48年新潟大学医学部を卒業し、産婦人科教室に入局しました。その後大学病院、済生会病院、竹山病院と47年間産婦人科の臨床を行なって来ました。2年前より健康医学予防協会に勤務し、予防医学を行なっております。今までは患者様の診療・治療を中心にして来ましたが、健康であることがいかに重要であるか、またどのような点に注意していけば良いかを、今勉強中です。幸い産婦人科専門医、人間ドック専門医、産業医の資格を取っていますので、少しは皆様方の御役に立てるのではないかと思っています。

 

婦人科検診者で最も多いのは「性器出血」

 

 

ここ5年間の健診プラザの健診者数を表にしました。

(単位:名)

総受診者数

婦人科受診者数

2016年度 64,817 10,228
2017年度 68,402 11,203
2018年度 75,722 12,424
2019年度 83,378 14,749
2020年度 92,418 18,117


コロナウイルス感染症下でも皆様が健康に関心を持っていただき健診者数は増加しています。近年特に、婦人科検診を受ける人が特に増加しており、婦人科の検診者の約2割は若い20歳前半、約6割は50歳前後、残り2割は60歳以上でした。ほとんどの人が“癌”を心配して来院されています。若い人は生殖活動が始まり(具体的には性交開始)特に困った症状はないが一応、異常がないかをチェックしにくる人でした。
今回、最も多い“性器出血”について述べたいと思います。性器出血には、何か臓器の異常がある場合(器質性出血)と主に性ホルモンが原因である場合(機能性出血)があります。今日は当センターで見つかる臓器異常からくる性器出血について述べて見ます。ページ数の都合もあり機能性性器出血及び比較的まれな疾患などは省きましたので整書、ネット等を参考にしていただければ幸いです。

 

 

検診で見つかる臓器異常からくる性器出血について

 

1.若年者の月経不順

12才頃より初潮が始まり、20才頃までには順調な月経となります。月経周期が20~40日型で順調であれば経過を見て差し支えないと思います。妊娠可能な時期に中間期出血(排卵期出血)があります。月経と月経の中間あたりに軽度の腹痛があり、少量で非凝固性(かたまらない)のピンク~赤色の出血でねばねばした透明性の帯下を伴えば、排卵期の出血であり2~3日で止血します。排卵をしていることが多く、特に問題はありません。30歳頃になっても不順であれば、卵巣機能不全が考えられますので婦人科を受診して下さい。

 

2.更年期前後の月経不順

45~55才にいろいろな不定愁訴及び体調不良が出て参ります(更年期障害)。女性ホルモン減少により月経が不順となりますが、性器出血は以前からの月経時にみられたような暗赤色、非凝固性、3~4日間で止血、以前からみられた月経前後の下腹部違和感、下腹部膨満感、乳房の緊満感などがありましたら、不規則月経と考えて下さい。月経間隔が3~6か月あいても経過を見ればよいと思います。

3.異常性性器出血

出血はピンク~赤色、鮮血が多く凝固性(かたまる状態)であり子宮にはあまり症状がありません。子宮膣部ビラン、子宮膣部及び子宮頸管ポリープなどが多く見られますが、たまには、子宮内膜癌(子宮体部癌)、子宮頸癌もありますから検診を受けて下さい。

4.子宮筋腫

月経時においてみられる症状が主です。月経量の増加、不規則な出血、強度の月経痛、不妊症、不育症の原因となります。子宮筋腫が大きくなると下腹部腫瘤感、ゴツゴツ感などがあり、膀胱圧迫症(頻尿・残尿感など)が出ます。まれに悪性化する場合がありますので、一度婦人科を受診して下さい。

 

5.卵巣腫瘍

よほど大きくならなければ症状はありません。但し、時々子宮近辺にしくしく感があり、激しい運動をした時などに激痛を覚えることがあります。そのような時は卵巣嚢腫の茎捻転(ねじれ)が考えられますので、すぐに婦人科を受診してください。まれにホルモン産生腫瘍などでは少量の不正性器出血がありますが、原則としては卵巣腫瘍では性器出血はありません。ときに、悪性化している卵巣腫瘍もありますので精査が必要です。

 

6.腟炎

帯下に異常が見られます。近年、クラミジア感染症が多く見られるようになりました。性交後に感染が多く、帯黄緑色、クリーム状の帯下が増加し、軽度の下腹部痛があります。また、老人の場合、女性ホルモンの減少により腟分泌物の減少及び腟の自浄作用(腟内を清潔に保つための酸性菌)が減少し、腟壁に点状出血斑が見られます。帯下にあるいは下着にピンク状の出血が認められたら萎縮性腟炎と考えられますので婦人科で治療を受けて下さい。

 

7.外陰部異常

 

尿道口ポリープ

外尿道口部にポリープが発生し、排尿後ティッシュでふいた時に鮮血の出血を見ます。出血が多い時は泌尿器科を受診して下さい。

バルトリン腺嚢胞

外陰の脇に発生するビーダマ丈の腫瘤です。緊張性のある腫瘤で痛みはありませんが感染を被ると発赤、腫脹、熱感、痛みが出現します。いずれも破裂しなければ出血はありませんが、一度は婦人科で見てもらって下さい。

外陰炎

年齢によりエストロゲンの減少により皮膚バリア(抵抗性)が弱まり、皮膚炎が起きやすくなります。原則として性器出血はありませんが、外陰部がこすれ(股ずれ)皮膚が剥離すると下着に少量の出血がつきます。若い人でもカンジダ腟、外陰炎が発症します。頑固なかゆみ、皮膚の灼熱感、とうふのかすの様な帯下などありましたら治療を受けて下さい。

 

8.子宮内膜症・子宮腺筋症

子宮内膜が子宮内筋層、卵巣及び近辺の骨盤底部にちらばった状態をいいます。原則として性器出血はありませんが、強度の月経痛、肛門痛、性交痛、まれには気胸などが起きてきます。症状が強いときは婦人科医と相談してください。

 

9.妊娠による出血

妊娠初期(本人は“妊娠かな”と思っている時)に性器出血を見る場合があります。初期流産、進行流産、不全流産、子宮外妊娠などが考えられます。淡紅色~鮮血、暗赤色の非凝固性の出血であり腰痛を伴なうことが多いです。また、更年期前後に持続性の性器出血が見られたら胞状奇胎妊娠、まれに絨毛癌などがあります。いずれも妊娠反応が陽性であるので区別することが出来ます。

 

10.外痔核

外痔核がひどく性器出血とまちがわれることがあります。排便時おしりをふく時、トイレットペーパーに出血がつくようであれば外痔核です。出血が増加するようであれば外科医を受診して下さい。

 

11.全身性疾患による出血

特発性血小板減少性紫斑病、白血病、再生不良性貧血などの血液疾患があったり、肝硬変などによる血液凝固因子の欠乏による性器出血もあります。暗赤色、少量の持続性性器出血であることが多いです。

 

12.医原性性器出血

子宮内避妊器具挿入者、経口避妊薬服用者、更年期障害でホルモン補充療法を行なっている者、乳癌でホルモン治療中の者などに持続性の淡紅色~鮮血色の性器出血が見られる場合もあります。

 

 

婦人科のオプション(追加希望)について

 

婦人科経腟エコー

経腟エコーは可能であれば受けられたら良いでしょう。内診のみで見つけられない子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮内膜症など多くの疾患の情報が得られます。妊娠及び妊娠関連疾患に関しては、経腟エコー(経腟超音波)検査は非常に有効です。

 

HPV検査

子宮頸癌の90~95%はHPV(ヒトパピローマウイルス)によるものと考えられています。子宮頸癌検診は はずかしく、いやであれば、HPVを検査してウイルス陰性であれば3年に1回位の検査で済むようになります。しかし、他の疾患がその間に発生する場合もあります。新潟市は2年に1回補助券を発行していますのでそれを利用して子宮頸癌検診をなされたらよいでしょう。当センターでも利用できます。

 

新潟健診プラザでは、女性専用フロアを採用し、安心・リラックスして受診いただけます。
▼施設や設備、検査について詳しくは以下のページをご覧ください。
女性のお客様へ

 

 

おわりに


以上、産婦人科領域での性器出血を中心にして説明して来ました。不正性器出血があると「癌」ではないかと悪い方に考え、「癌ノイローゼ」になってしまいます。
健診に来ていただき、まず事務員、看護師が問診表を作成しますので、不安なことを是非お話ししてください。我々も出来得る限りお答えしていきたいと思っております。

 

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